
ジョン・レノンが、まだ“ビートルズのジョン・レノン”になる前のティーンネイジャーだったころの物語。
…と言っても“ビートルズ誕生秘話”という様相ではなく、ジョンの複雑な生い立ちと、それに向き合うことになる多感な成長期を中心に描いたドラマです。
ビートルズということを抜きにしても、とても見応えある映画でした。
二人の母に愛され、その愛に引き裂かれる少年が、真実と向き合ったときに出した答え…。
家族の分裂と再生に、そして思いがけずふりかかる運命の厳しさにホロリとさせられました。
そのドラマに深くからんでくるのが、他でもない“音楽”です。
ジョン・レノンを演じたアーロン・ジョンソンは1990年生まれということで、撮影当時は実際にティーンネイジャーということもあり、瑞々しい演技を見せてくれました。
実母であるジュリアと出会い、陽気な彼女のとりこになって、彼女の好きなロックンロールに次第にハマっていく…。
学校でのふるまいは不良少年っぽく、音楽やジュリアと向き合っているときにはピュアに、後のジョン・レノンを予感させる多面性を伺わせつつ、主役にふさわしい存在感で見事に演じきっていました。
このアーロン・ジョンソン、どこかで見たことある…と思ったら「ジョージアの日記」に出ていたイケメン君だったんですね〜。そう言えば「ジョージア…」でもバンド少年でした。
そしてポール・マッカートニーを演じたのがトーマス・サングスター。
「ラブアクチュアリー」でリーアム・ニーソンの息子役だったあの男の子です。
彼はアーロン・ジョンソンと同じ1990年生まれなのですが、童顔のまま背だけが伸びた感じで何だかアンバランスな気がしなくもないような…。(でも某ラジオ番組でおすぎさんは二人の出会いのシーンを絶賛してたなぁ…。)
二人とも歌が上手いので音楽シーンはどの場面も見ていても楽しかったです。
過酷な運命に打ちのめされたジョンを支えたのは音楽とバンド仲間と母親の愛情でした。
このメンバーが後のビートルズになっていく…ということはすっかり忘れて、ただ感動してこの「ノーウェアボーイ」のクライマックスとしてのファーストレコーディングシーンを眺めていました。
主演のアーロン・ジョンソンが、この作品の監督サム・テイラー=ウッドと結婚、1児の父となったことでも話題ですが(年齢差23歳!ジョンとヨーコどころではないですね)
ドラマとして、音楽映画として、また、これからが期待できる若手俳優たちの活躍…と、たくさんの見どころがある青春映画でした。
ビートルズに興味がある・ないに関わらず、ぜひ多くの人に観てほしい作品です。