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「ペルシャ猫を誰も知らない」
JUGEMテーマ:映画
 
自分たちが好きな音楽を自由に歌い、奏でたい。
ただそれだけを実現するのに、いくつもの壁をこえなければならない場所がある。
規制の厳しいイランで、それでも何とかメンバーを集め、場所を確保しライブを開きたいと奔走するミュージシャンたち。
彼らの才能に惚れ込み、何とか夢をかなえる協力をしたいと躍起になる“何でも屋”の若者。
テヘランの街を走り回る主人公たちと、メンバー探しの中で出会う様々なジャンルのミュージシャン、彼らの演奏がプロモーションビデオのように展開するエネルギッシュな映画でした。

イランというと2007年にカンヌで受賞したアニメ映画「ペルセポリス」を思い出します。
あの作品でも主人公マルジは好きな音楽を好きなように聴けずにフラストレーションをためていました。

選択の自由がない国。
「音楽をやるなら、西洋のロックではなく、自国の文化を」と強要される。
規制局側にとっては何の価値もない音楽が、このミュージシャンたちには、なくてはならない命の糧。
当局の目をかいくぐりながら練習に励み、通報、逮捕、釈放を繰り返しながらも音楽をやめないたくましい姿に、胸が熱くなりました。

“何でも屋”ナデルを演じた俳優さんのユニークなマシンガントークもあり、軽快なコメディ調の部分もありますが、現実の厳しさに打ちのめされる部分もあり…。
“自由”の重さをズシリと感じるラストでした。

実際に、ほとんどのシーンが無許可のゲリラ撮影だった本作。
監督と主演のミュージシャンたちは撮影終了4時間後にはイランを離れたそうです。

音楽の好みなんて、いつしか自然に芽生えるもので
国から規制され、強要されて育まれるものでは決してないはず。
今この手の中にある自由に感謝。





| 映画 ハ行 | 13:06 | comments(0) | trackbacks(0) |
「瞳の奥の秘密」
JUGEMテーマ:映画
 
今年のアカデミー賞で外国語作品賞を受賞した本作。
アルゼンチンの作品です。
1974年に起こった殺人事件をめぐる、主人公の刑事裁判所職員ベンハミン、その相棒パブロ、美しい女上司イレーネ、そして事件の遺族と犯人、それぞれの人生を描き出すドラマでした。

タイトル通り、登場人物の誰もが瞳の奥に(心の奥に)秘密をもっていて、ストーリーが進むにつれ、次々にそれらがあぶり出されてくる展開に圧倒されました。
最後の最後まで落としどころが見えない、もうこれで決着がつくか…と思うと次の驚きが待っている、という感じです。

主演のリカルド・ダリンは国民的大スターとのことで、演技の上手さだけでなく、風格をも感じる存在感でした。
イレーネ役のソレダ・ビシャミルは女優だけでなくタンゴ歌手としても活躍しているそうです。
瞳で語る演技に長けた、目が離せない女優さんでした。

1974年のアルゼンチンというとファン・ペロン大統領が亡くなりエヴァ・ペロン(エビータ)が後を継いだ時代だそうです。
社会の混乱や不安定な政情が登場人物たちの人生を翻弄する様は、日本から見ると驚くような理不尽さで、見ていて複雑な気分になりました。
都会と地方の格差、家柄の差による職業的差別、腐敗した権力者、どれもが「こんな風になったら嫌だなぁ…」と思えるものばかり。
21世紀に入って、これらは少しは良くなっているのでしょうか…。
映画の本筋とは離れたところで、そんなことが気になったりもしました。

本国アルゼンチンでは半年以上の長きにわたるロングラン上映だったそうです。
共感できるか?という点では正直に言うと難しい物語でしたが、
見応えあるドラマだったことは確かです。



| 映画 ハ行 | 21:01 | comments(5) | trackbacks(1) |
「フェアウェル さらば、哀しみのスパイ」
JUGEMテーマ:映画
 
ソ連崩壊のきっかけをつくったと言われる20世紀最大規模のスパイ事件をもとに描かれたフランス映画。
主人公は西側へ情報を流すKGBのグレゴリウス大佐。
コードネームは“フェアウェル”。
連絡係となるのがフランス人で電気メーカーに勤める民間人ピエール・フロマン。
ピエールの上司はDST(フランス国家保安局)とつながりがあるのですが、ピエール自身はまったくの民間人であり諜報活動については素人です。
グレゴリウス大佐が大物なだけに、かえって疑われにくいように…という人選だったのでしょうけれど、かなり危ない橋だったと思います。
クライマックスにはハラハラさせられました。

スパイ映画とは言っても、アクションなどはまったくなく、KGBからDSTを経由してCIAに情報が流れていく様子を淡々と描き、ドラマはむしろグレゴリウス大佐とピエールのプライベートな悩みや思い、そして危険な橋を渡るなかで徐々に育まれる二人の友情が主軸とされていました。
グレゴリウス大佐は何故このような行動に出たのか、
ピエールは彼を心配し反対する妻の気持ちを差し置いて、何故グレゴリウス大佐に協力しつづけたのか、
二つの家庭とそれぞれの人物の思いを描きながら、物語は時代を動かす大きな事態へと発展していきます。

決め手となる情報とは、具体的には西側諸国に送り込まれ諜報活動を行っている重要人物たちのリストなのですが、それによって捕まってしまうスパイのなかの一人にダイアン・クルーガーが出ていたのも印象的でした。
セリフもない、ほんの一場面ですが緊迫感がありました。
1981年の出来事だったそうです。
こうして情報の東西パワーバランスが崩れたことが、ゴルバチョフのペレストロイカを推進する大きなきっかけとなったわけです。

東西の冷戦というのはパワーバランスのゲームなのだと思える映画をここ最近何本も観た気がします。
午前十時の映画祭で、この3週間「ライトスタッフ」「2001年宇宙の旅」「ミクロの決死圏」の3本を観ましたが、例えば「ライトスタッフ」はNASAの“マーキュリー計画”に関わった宇宙飛行士たちのドラマで、その“マーキュリー計画”のきっかけはソ連のスプートニクでした。
「2001年宇宙の旅」では核弾頭を積んだ各国の衛星が飛び交う様子で始まるし、「ミクロの決死圏」もミクロ技術の革新的な発明を持って東側から亡命してきた科学者を救おうとする物語です。
そして昨日書いた「ヤギと男と男と壁と」も同じです。
特殊超能力部隊を米軍内で開発しようとするきっかけは、やはり「ソ連でもやっているから」という理由でした。
先日ISS(国際宇宙ステーション)に長期滞在した日本人宇宙飛行士、野口聡一さんの講演を伺う機会があったのですが、そういえばそのお話のなかでも「ISSの乗組員は夕食は必ず一緒に食べるんですが、朝食は各自で、昼食はアメリカ側、ロシア側2カ所に分かれて食べていました」とおっしゃってました。野口さんご自身は日によって両方でランチをとっていたそうですが、ISS建設が着手された1980年代後半は今思えば、まだまだペレストロイカの真っ最中…というところです。ISSの構造のなかにも東西対立の構図は残されているようです。

話は大きくそれましたが、この「フェアウェル さらば、哀しみのスパイ」を観て思ったのは、これから世界はどう変わっていくんだろう?ということ…。
1980年代初頭、グレゴリウス大佐は自分たちが築いてきた社会を省みて、「せめて息子の世代には、もっと良い社会に…」という思いで、自らの命と引き換えに社会を動かす行動に出ます。
息子の未来を思う父親の気持ちが、実際に世界を動かした…という物語でした。
次の世代に“希望”というバトンを渡そうとする父親たちが、これからどんな行動をとるのか…。
世界はそれによって変わるのかもしれない…と思いながら劇場を後にしました。

最後に…
1980年代という時代のアイコンとして、グレゴリウス大佐の息子さんが憧れる西側文化に「ソニーのウォークマン」「フレディ・マーキュリーのライブ映像」(We Will Rock You♪)が象徴的に使われていたのにも感慨深いものがありました…ということも書き添えておきます。



| 映画 ハ行 | 13:52 | comments(3) | trackbacks(5) |
「ベスト・キッド」 オリジナル版へのオマージュもたっぷり
JUGEMテーマ:映画
 
言わずと知れたウィル・スミス&ジェイダ・ピンケット・スミスのご子息、ジェイデン・スミス君の主演第一作。
ジャッキー・チェンと共演して、あの1985年版「ベスト・キッド」をリメイクするとなれば注目しないわけにはいきません。
子役の成長というのは本当にあっという間です。
4年前に親子共演で話題になった「幸せのちから」
2年前にキアヌ・リーブス主演でリメイクされたSF大作「地球が静止する日」
3作目にして主役というのはスゴいです。
しかもジャッキー・チェン仕込みのカンフーを披露する大役…となればきっとプレッシャーも大きかったと思います。まだ12歳ですから。

エンドロールの背景として撮影風景のスナップショットが使われていますが、ご両親ともに付き添っていたようで、親子ショットも何枚かありました。
共演の子役たちともチームワーク良く過ごしていたようで米中関係の架け橋にもなったのではないでしょうか?(ちょっと大袈裟か…)

さて、前置きが長くなってしまいましたが(しかもエンドロールのネタバレまで…)
映画そのものの感想は「なかなか楽しい作品に仕上がっていた」というもの。
まずジェイデン君とジャッキー・チェンのコンビネーションがとても良い!
ジャッキーが珍しく肩の力が抜けたような良い演技で、オリジナルでパット・モリタ演じるミヤギさんとは違ったキャラクター設定ですが同じような温かさが感じられました。
そして全編を通してオリジナルへのオマージュが感じられるのも良かったです。
『ワックス オン ワックス オフ』が、こんな風に使われているとは!
予告編を見ているときには全く気づきませんでした。

ジェイデン君の母親を演じたのはタラジ・P・ヘンソン。
「ベンジャミン・バトン」で育ての親クイニーを演じていた女優さん。
本作でも同様に気の良い温かいお母さんでジェイデン君とも息がピッタリ。
ジェイデン君も頑張ったと思いますが、周りの俳優さんたちの気遣いもあったのではないでしょうか。子役はみんなとてもいきいきとしていました。

映画の舞台は北京の都市部から郊外、果ては万里の長城まで、まるで中国観光案内的なロケーション。
撮影は大変だっただろうな…と思いつつも、旅行気分で見入ってしまいました。

いじめっ子役の少年もなかなか存在感のある子役で、ラストの決着も爽やかでした。
カンフーの試合のシーンも見応えありましたし、最後まで楽しめました。

140分というのはやや長いかな?とも思いますが、デトロイトから北京に引っ越した少年が、いじめっ子たちとの出会いをきっかけに一念発起、アパートの管理人で実はカンフーの達人のおじさんに鍛えられて成長し、その間にも淡い恋物語もあり…と、かなり盛りだくさんの内容。
冗長に感じるわけでもなく、クライマックスの盛り上がりも良い具合で満足のいく作品でした。
ただし、やはり140分という内容は、あまり小さなお子さんには向かないかも。
ファミリー映画ではありますが、少なくともジェイデン君と同じ世代くらいじゃないときついかな?




| 映画 ハ行 | 21:56 | comments(0) | trackbacks(20) |
「ヒックとドラゴン」(2D字幕)
JUGEMテーマ:映画
 
地元のシネコンで吹き替え版の上映しかなかったので、新宿まで足を運びました。
(最近、このパターンが本当に多い…。何とかしてほしいです…)
本国アメリカで興行成績が比較的長いこと上位だった本作。
公開を楽しみにしていました。長い間上位にいるということは、口コミがあった、またはリピーターがいた、ということの表れで、こういう作品にハズレは少ないです。

ドリームワークスの新作ということですが、もとディズニーの監督作品だけあって、ちょっとディズニーテイスト。
「トゥース(ドラゴン)ってどことなくスティッチに似てない?」と一緒に観た良人が言うので調べてみたら、確かに「リロ&スティッチ」の脚本を担当していた人でした。

とても面白い作品でしたが、物語が面白いというだけでなく、いろいろと興味深いことが読み取れる映画で、そういう面でも面白かったのです。
まず、ひとつには“ヒーロー”のタイプが明らかに変わってきた、ということ。
主人公のヒックは決して強くないし、モテるタイプでもない。
親との関係も上手くいっていない、悩み多きティーンエイジャーです。
声を演じているのはジェイ・バルシェル。
今週末には「魔法使いの弟子」が封切りとなりますが、ニコラス・ケイジの弟子を演じる俳優です。
「トロピック・サンダー」や「ファンボーイズ」でも活躍していました。
ひと昔前なら絶対“主役”を演じることのなかったタイプ。
主人公の友達のちょっと変わった子、という脇役が今や主役を演じる時代です。
いわゆる“ナード”という感じでしょうか。
知識は豊富だけど内向的。そんな主人公が一芸に秀でた友人たちの力を借りて問題を解決する…というのがパターンになってきているの気がします。

もう一つ、この作品で興味深かったのは“善と悪の戦い”という単純な構図が、“悪の側にも事情がある”と、一歩踏み込んだ描かれ方になっていて、
最終的には悪を悪たらしめる“諸悪の根源”を善と悪が一致団結して倒す、という流れになっていたこと。
指導者(大人たち)も全能とは言えず、策もないまま戦いになだれ込む愚かな一面も描かれ、窮地に陥ったところを主人公たちティーンエイジャーが救うという流れも最近見られるようになったパターンではないでしょうか。

ファミリー向けのアニメ作品から読み取れる時代の変化。
そんなことを考えながら劇場をあとにしたのでした。

今回は2D版を鑑賞しましたが、3Dもきっと迫力があって楽しいと思います。
声の出演はヒックの父親にジェラルド・バトラー。
憧れの女の子アスティに「アグリー・ベティ」のアメリカ・フェレーラ。
主人公をはじめ、上手い俳優さんがそろっているので字幕版を選びました。

ファミリー向け映画ですが、子どもだけでなく、大人も様々な視点で楽しめる良作だと思います。



| 映画 ハ行 | 23:14 | comments(2) | trackbacks(16) |
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