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「ソーシャルネットワーク」
 
東京国際映画祭にて鑑賞。
正式公開は2011年1月15日より。
アメリカでの評判があまりにも良すぎて(絶賛している評論ばかりが聞こえてくる)
「フェイスブックを立ち上げた若きビリオネアのお話が、どうしてそんなに面白いんだろう?」と、不思議に感じていました。
デヴィッド・フィンチャー監督の人気の高さは承知していますが、それにしても驚くほどの高評価の嵐に興味がつのって、楽しみでしかたない作品でした。

鑑賞後、絶賛の嵐に納得しました。これはすごい。
ジェシー・アイゼンバーグ、アンドリュー・ガーフィールドという注目している若手俳優の活躍だけでもかなり満足度が高く、それにジャスティン・ティンバーレイクを加えた三人の若者の三つ巴の駆け引きを、胸がしめつけられるような思いで見ていました。
三人とも素晴らしい役作り、そして演技でした。

ジャンルとしては“裁判もの”でもあり、フェイスブック立ち上げの経緯を客観的に見せられ、様々な人物の立場で考えさせられる作りになっています。
そして多くの部分の判断は観客に委ねられています。
いろんな方が「羅生門」を引き合いに出されているようですが、つまり答えは「薮の中」ということ…。

ジェシー・アイゼンバーグ演じるマーク・ザッカーバーグの天才の孤独、
アンドリュー・ガーフィールド演じるエドゥワルド・サベリンの秀才の哀しみ、(天才の友人について行けず、取り残されてしまう…)
価値観の違いによってすれ違って行く人間関係はどこにでもあることですが、複雑に絡んだ嫉妬や劣等感や自尊心が凶器となって友情を切り裂いていく様はとても痛々しく、そしてそこに巨額のお金がからんでくる様子を目の当たりにして、何ともやりきれない気持ちになりました。
マーク・ザッカーバーグという人の言動はかなり変わっていて、ストレートに言えば、周囲への配慮に欠けたふるまいを平気で行うひどい人です。
でもある種の純粋さを持った人でもあり、そのひどいふるまいも他の凡人にとっては思いついたとしても実際には行動できないものが、ザッカーバーグにはその才能ゆえに実行できてしまうというもので、持っている能力が人格の成長を待たずに大きく上回ってしまった早熟の天才の悲劇だと私には見えました。
この辺りは人によって受け止め方が違うと思いますが…。

観終わった時点ですぐにもう一度観たくなる作品でもありました。
ジェシー・アイゼンバーグの緻密な演技を、再確認したいシーンがたくさんあります。
年明け、1月の公開が待ち遠しいです。
ジェシー・アイゼンバーグは「イカとクジラ」「ハンティング・パーティ」「アドベンチャーランドへようこそ」「ゾンビランド」と、1作ごとに上手くなってきた感があります。
アンドリュー・ガーフィールドも「大いなる陰謀」「Boy A」以来注目していましたが、本作での活躍は期待以上のものでした。
今後もカズオ・イシグロ原作の「わたしを離さないで」でのキャリー・マリガン、キーラ・ナイトレイとの共演や新スパイダーマンなど話題作が続くので、目が離せません。

私は毎年、観た映画のランキングを自分なりにつけているのですが、これは間違いなくTOP10に入る作品です。ただし、公開日を基準に年度を分けているのでこれは2011年のランキングということで。
多分、この作品の面白さを越える映画にはそう何本もお目にかかれないであろう…というほどの確かな見応えがありました。








| 映画 サ行 | 23:49 | comments(3) | trackbacks(3) |
「シングルマン」
デザイナーであるトム・フォード初監督作品。
ひとつひとつのシーンが明確に計算されている印象。
“自分の撮りたいもの”が、とてもハッキリしているのだと思います。
そこに一人ひとり、最高の役者をあてていて何もかもがパーフェクト。
コリン・ファースはこれまでにもいろいろと好きな作品があるのですが、この「シングルマン」で最高の演技を見せてくれたと思います。

コリン・ファース演じる大学教授のある一日を描いた、
文字通り、朝目覚めてから夜眠りに就くまでの映画です。
最愛の人を亡くした男をめぐる、ある種の“幽玄”な世界を感じながら、同時に命の輝きも見せてくれる…。
トム・フォード監督の手腕に魅了された100分でした。

ジュリアン・ムーアも素晴らしかった!
映画全体を貫く深い哀しみのトーンに鮮やかさを加えながらも、さらにその哀しみを深いものにする独特の存在感でした。

生徒役で登場したニコラス・ホルトにも驚きました。
トム・フォード監督、よくこんな美少年俳優を発掘したなぁ…なんて思っていたら、あの「アバウト・ア・ボーイ」でニット帽をかぶっていたマーカス少年だったんですね!
あまりにもスラリと大きくなっていて気づかなかった…。(身長は189センチだそう!)
でも後から写真を見比べたら面影はそのまま。
青い瞳が印象的。これからの活躍が楽しみです。

観客を選ぶタイプの作品ではありますが、これは残る映画。
コリン・ファースのマスターピースと言えるでしょう。
1962年のカリフォルニア。
どの場面をとってもお洒落で、最高にスタイリッシュ。
物語、役者、美術、音楽、すべてに満足。
アートの秋を味わいたい方にお勧めしたい1本。
ぜひ劇場で。







| 映画 サ行 | 15:58 | comments(5) | trackbacks(5) |
「ジャーロ」
JUGEMテーマ:映画
 
イタリアホラーの巨匠と呼ばれるダリオ・アルジェント作品。
予告編を観る限りかなりエグイ感じで、ものすごく迷いましたが、エイドリアン・ブロディの熱演ぶりについて触れているレビューを読んで、つい観に行ってしまいました…。
ホラーではなく猟奇殺人もののサスペンス。
これはキツかった…。

でもエイドリアン・ブロディの演技は堪能できました。
シリアルキラーの猟奇的な行動を先読みすることは、それに近い感覚を持った人物でなければ難しい…。「羊たちの沈黙」的な要素です。
幼い頃に巻き込まれたある事件のトラウマを抱える、複雑な立場の警部役を熱演していました。
さらに、もうひとひねり…驚くような演技も披露。
この作品、エイドリアン・ブロディ自身がプロデューサーに名を連ねているので本人も望んでの演技だと思いますが、とても挑戦的で、気づいたときには思わず息をのみました。

ラストもハリウッド的な予定調和は一切なく、かなりシビア。
それがかえって新鮮でもあり、とてもキツい映画鑑賞でしたが満足度は高かったです。

エイドリアン・ブロディが好きで、猟奇殺人ものもとりあえずOKという方には、ぜひチェックしてほしい作品です。



| 映画 サ行 | 23:13 | comments(0) | trackbacks(0) |
「終着駅 トルストイ最後の旅」
JUGEMテーマ:映画
 
世界三大悪妻というと、ソクラテスの妻クサンティッペ、モーツァルトの妻コンスタンツェ、そしてトルストイの妻ソフィアの名が挙げられるそうです。
そのソフィアにヘレン・ミレン。
トルストイにクリストファー・プラマー。
トルストイ主義の社会運動家チェルトコフにポール・ジアマッティ。
名優揃いの本作で、ひときわ輝いていたのがトルストイの秘書ワレンチンを演じたジェームス・マカヴォイです。

トルストイとソフィアの間に深い愛情があることは確かなのです。
しかし作家としてだけでなく思想家としても多くの人を惹き付けるトルストイの“思想”について、ソフィアは受け入れることができず、深い愛があるが故に二人とも苦しんでいます。

著作権を放棄しパブリックドメインとするよう遺言の書き換えを勧めるチェルトコフ。
トルストイ自身も妻の反対を押し切ってでも遺言を書き換えると心に決めていますが、妻を思う気持ちも深く罪悪感に苛まれています。
そして確かにソフィアの激情がトルストイを苦しめるのですが、彼女の存在は“悪妻”という言葉だけで片付けることはできません。
作家トルストイを深く理解し初期の作品の執筆活動を献身的に支え、13人の子どもを産み育てた女性です。
作家としてだけでなく、思想家としてだんだんと教祖のように祭り上げられていく夫の姿に戸惑いながら、深い葛藤があったに違いありません。
この複雑な人間模様を名優たちが情感豊かに演じるのですが、その中央にジェームス・マカヴォイ演じる若き純粋な秘書がいるわけです。
観客は彼の目を通してそれぞれの人物の立場や思いを知ることとなります。
とても巧みな構成だったと思います。

ジェームス・マカヴォイも着実にキャリアを積んできている俳優という部類に入ると思いますが、ヘレン・ミレンやクリストファー・プラマーらに囲まれれば、まだまだ“瑞々しい”という形容詞を使いたくなる存在です。
トルストイへの憧れと、その秘書という仕事を得た喜び、チェルトコフとソフィアの確執に板挟みになる戸惑い、コミューンで出会った女性マーシャとの恋、すべてのシーンでベテラン勢に負けない素晴らしい演技を見せてくれました。

前回のオスカーでは主演女優賞にヘレン・ミレン、助演男優賞にクリストファー・プラマーがそれぞれノミネートされていましたが、ジェームス・マカヴォイもきっと近い将来、そういった舞台に名前が挙がる俳優に成長していくと思いました。

史実をベースとしたドラマとしても見どころが多く、満足度の高い映画でした。
マカヴォイファン必見です。



| 映画 サ行 | 10:40 | comments(2) | trackbacks(7) |
「ソルト」アクションスター、アンジーの魅力
JUGEMテーマ:映画
 
「トゥームレイダー」ララ・クロフトを観たときに、アクションスターとしてとてつもない可能性を感じました。
その後、「トゥームレイダー2」「Mr.&Mrs.スミス」また記憶に新しいところでは「ウォンテッド」と、その地位を確実に築いてここに至る…という感じでしょうか。
アンジェリーナ・ジョリーの魅力だけでもたせている作品でした。

正直、ロシアのスパイ…なんて言われても今更感が漂います。
(先日、美しい女スパイが…というニュースがありましたが)
この映画でも黒幕がいったい何を求めて世界を混乱させようとしているのか全く見えず、ドラマとしては何とも物足りない100分…。
ひと昔まえのスパイものは、冷戦時代のイデオロギーの対立ということで、それぞれ信念に基づいた行動をとる(良い悪いは別として)“ヒューマンドラマ”として説得力あるキャラクターが登場していました。
イデオロギーの対立がない今、混乱に乗じて権力を握ろうとする悪役なんて、まるで「世界征服!」とか叫んでいるマンガのキャラクターにしか見えません。

とは言っても、アンジェリーナ・ジョリー演じるソルトのアクションとハラハラ、ドキドキのスリル感だけでも見応えある映画でした。
「チェンジリング」などドラマ系の作品でもしっかりとした演技で活躍している彼女ですが、やはり“本領発揮”のアクション系作品でその魅力を堪能すると、アクションスターとして撮れるうちにたくさん撮っておいてほしいと願わざるを得ません。
でもできれば「ソルト」の続編というよりは、ララ・クロフトのような、あまり現実味はなくてもキャラクターそのものに魅力がある作品に出てほしいなぁ…。





| 映画 サ行 | 22:27 | comments(7) | trackbacks(27) |
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