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「英国王 給仕人に乾杯!」


チェコという国は20世紀中に政治や経済や民族、さまざまな変化を経験しています。
私の世代だと社会科で習うチェコと言えば“チェコスロバキア”だったのですが
“チェコスロバキア”という国はもうありません。

そんな20世紀半ばのチェコを舞台に描かれる
とある給仕人の半生… 。不思議な余韻が残る作品でした。

主人公ヤン・ジーチェが駅のプラットフォームでソーセージ売りをしていた少年時代から、田舎町のビアレストランのボーイ、妖しげなホテルの給仕人の仕事を経て、プラハの一流ホテル“ホテル・パリ”の主任給仕人になっていく青年時代、
そして戦争と革命という時代の波に飲まれ投獄された後、老年になって国境近くの打ち捨てられた村で晩年をおくるまでの、長い長い物語で、
一歩間違えれば、とてつもなく暗い悲劇にもなりかねないものを
明るく、あきれるほど軽妙に描いていました。

こういう表現をすると身も蓋もないのですが、
主人公ヤンの心にいつもあるのはいつも「金と女」です。
ただひたすら、それらを追いかけている人生なのです。

極端な貧富の差、
ナチス・ドイツの台頭による人種・民族の問題、
第二次世界大戦、
ソ連による共産化の波、
かなり深刻な問題がとてもリアルに描かれているのに
ヤンが見ているものはいつも、あっけらかんと「金と女」のことばかり。
そして軽快な音楽と(これがまた素晴らしかった!)
美しい映像で、ひたすら明るく面白く表現されていくのです。

それでいて、人生についてしみじみと考えさせる深さがありました。

それは偏にイジー・メンツェル監督自身の体験に基づいた深い人生観が織り込まれていることによるものだと思います。

メンツェル監督自身、28歳の若さで「厳重に監視された列車」がアカデミー賞の外国語作品賞を受賞し、一躍スター監督の座に輝きますが、共産化の波に覆われるチェコで弾圧に遭い、長きにわたり表現の自由を奪われます。
同時代、同じチェコからアメリカに亡命した監督にミロス・フォアマンがいます。
メンツェル監督がこの作品のプロモーションで来日した際のインタビューで「亡命を考えなかったのか?」との質問に対して
『フォアマンがアメリカに亡命したのは良かったと思う。「カッコーの巣の上で」や「アマデウス」はアメリカでしか撮れなかっただろうから。そして自分の映画はチェコでしか撮れないものだ。フォアマンから“「英国王給仕人に乾杯!」を観た。素晴らしい作品だ”という手紙をもらって、とても嬉しかった』と答えていました。

タイトルの「英国王に給仕」したのは主人公ヤンではなく
ホテル・パリの給仕長スクシーヴァネクという人物です。
このスクシーヴァネクの存在が物語のもうひとつの鍵となっています。
人を支配する“エロス(性)”と“タナトス(死)”
ヤンは前者、スクシーヴァネクは後者として表現されているような気がしました。

チェコのビールの美味しさだけは変わらない。
どんなに政治(国家体制)や経済(貨幣価値)が変わったとしても…。
ラストシーンのビールを眺めながら、いつかプラハで味わってみたいものだと思いました。


| 映画 ア行 | 20:54 | comments(2) | trackbacks(13) |
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コメント
この作品は素晴らしかったですね。仰る通り映像も音楽も良かったですし。サントラ盤が欲しくなりました。
| 丹下段平 | 2009/02/01 10:02 AM |
丹下段平さん、こんにちは。
TBとコメントありがとうございました。
鑑賞から約1ヶ月経つのですが、印象深いシーンが多くて今も鮮やかに思い出します。
サントラも欲しいなぁ…。
本当に素晴らしい作品でした。

丹下さんのブログも素敵ですね。イラストが楽しくて…!
これからも時々お訪ねしますね。
| Yukiko T. | 2009/02/01 9:36 PM |
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