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「プレシャス」
JUGEMテーマ:映画
 
様々な映画賞で話題になっていた本作。
テーマがテーマなだけに、日本ではどうかな…と思っています。
観終わった今も、この作品をどういう人に勧めたら良いか分からない状態です。

予告編を観て
「一人の少女が、悲惨な生活のなかで、ある教師との出会いをきっかけに
自分の周りにある愛に気づき立ち直るまでのお話」
…という“美談”路線を期待して観に行こうとしている人には
「そのテーマは間違いじゃないけど、描かれている現実は“悲惨”以上のものだから覚悟したほうが良いですよ」と伝えるでしょう。

観終わって感じているのは
「教育を受ける権利の尊さ」です。

プレシャスの家は地獄のよう…。
母親もプレシャスもちゃんとした教育を受けていないために、
自立した生活が自分にもできると思えないでいるのです。

生活保護で暮らしている彼ら。
16歳になっても読み書きができないプレシャス。
毎日母親から「お前に勉強なんかできるわけがない」と言われ続け、自分でもそれを信じてしまっています。
二人目の子を妊娠したことをきっかけにそれまで通っていた中学を退学となり、
「EOTO」(イーチ・ワン・ティーチ・ワン / すべての人に教育を)というフリースクールに通い始めたことでプレシャスの人生は大きく動き始めます。

母親を演じたモニークという女優さんは、この役でアカデミーの助演女優賞を受賞しています。
娘に対する言葉の暴力と実際の暴力。
「独りになりたくない」という強い恐れが、娘を支配するためのあらゆる暴力に繋がっているわけですが、その芯の弱さを上手く演じていたと思います。
二人目の子を妊娠している娘。
その父親は自分の夫だと知っているわけですから、そこには嫉妬の感情も交じってさらに複雑な醜い人間模様が見えてきます。

プレシャスを演じた新人女優ガボレイ・シディベへの評価の声も高かったし、難しい役を堂々と演じきっていたと思います。
さらに本作の出演者のなかで特筆すべきは、生活保護支給のためのカウンセリング担当者を演じたマライア・キャリーとプレシャスの出産に関わる担当看護師を演じたレニー・クラヴィッツです。

レニー・クラヴィッツがどういう経緯で本作に出演することになったのか知らないのですが、
登場シーンは少ないながらも、彼の出ている場面だけが、この悲惨な映画のなかでノーマルな空気が流れる、「ホッとする」シーンだったという印象で、小さい役ながら、なかなか重要なパートだったと感じています。
もしくは彼だったからこそ、そういう演出を施したのか…。

マライア・キャリーはとても自然で、女優が本業でないことを忘れるほどでした。
この役は本当はヘレン・ミレンが演じる予定だったところ、急遽の降板ということでマライア・キャリーに白羽の矢が立ったそうです。
クライマックスの三者面談のシーンでは、マライアだったからこそ、あのモニークの演技がひき立ったのではないかと感じました。
すべての感情をさらけ出して自己弁護するモニークに、思わずもらい泣きするカウンセラーは、マライアでなければ出来なかったと思えます。

この作品が投げかける問題は一筋縄ではいかないものばかりなので、
誰が観ても「カタルシス」が得られる…というものでもないし、
かなり不快な現実を見せられて、嫌な気分になること必至です。
前評判が高かったため、劇場数もそれなりに多いですが、
鑑賞には結構覚悟が要る作品だと思います。

原作者(EOTOの教員)のサファイアはレズビアンであること、
そして監督のリー・ダニエルズはゲイであることを知った上で鑑賞すると、
提起されている問題の幅が少し広がると感じたので、最後に書き加えておきます。


| 映画 ハ行 | 07:57 | comments(4) | trackbacks(8) |
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コメント
重たいテーマで、観ててつらくなりました。母親役を演じたモニークはコメディー色の方が強い女優さんなので、役柄のギャップに驚きました。何度も観たい映画とは違うけど、心にグッとくるものがありました。
| naoko | 2010/04/27 12:59 AM |
naokoさん、こんにちは。
モニークは人気のコメディエンヌだそうですね。日本でもたまにお笑い系のタレントさんが映画でシリアスな役を驚くような上手さで演じたりしますが、そんな感じなのかなぁ…と思って見ていました。

心にグッとくる…本当にそうですね。
力強い作品でした。

熱心な教師が書かせる作文によって生徒たちが変わって行く…という物語から連想したのは「フリーダム・ライターズ」(原題も同じだったと思う)という映画。
ヒラリー・スワンク主演の2007年の作品です。
これも実話ベースです。
作文という自己表現を通して少しずつ自分に自信をもち、相手を理解し尊重しようという気持ちが芽生え、それが向上心につながっていく様子をさわやかに描いていました。
| Yukiko T. | 2010/04/27 8:50 PM |
こんばんは、コメどうもでした。
この映画が見事なのは、凄くパーソナルな少女の成長物語としてしっかり成立していながら、全体を通すと社会的な視点をしっかりと観客に認識させることでしょうね。
しかも下手をするとひたすら悲惨なだけの話になりそうなのですが、見終わると不思議に和らいだ印象がある。
主人公の空想が上手く効いてるなと思ったのですが、クラヴィッツの出演シーンは確かに違った空気が流れてましたね。
マライヤのシーンも含めミュージシャンの持つ独特の表現力が映画に上手くはまっているのかもしれませんね。
| ノラネコ | 2010/05/05 9:44 PM |
ノラネコさん、こちらこそコメントありがとうございました。
本当に、よくもまあこれだけ悲惨な…という内容でしたが観賞後、胸に残る空気は少し和らいでいました。
現実問題として、あの後プレシャスの状況が良い方向に変わる保証は何もないのですが、母親という壁を一つ乗り越えたことへの安堵だったのかもしれません。
仰る通り仰る通り20年近く前のことが描かれていながら、なぜか十分に現代性もある…という厳しい現実が見せつけられる映画でもありました。
面白くも楽しくもない映画鑑賞でしたが、見応えはありました。
| Yukiko T. | 2010/05/07 11:00 PM |
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