こんばんは。
救うにしろ征服するにしろ、「世界」を描くのって本当に大変ですよね(私も今苦戦しています・・・)。
この手のスケールの大きな物語を辻褄を合わせてなおかつ面白く描くはかなり難しいと思います。
ソルトの正体を明かさずに彼女を魅力を伝えるのは、一人称視点をあまりやらない映画では難しいですよね(汗)。
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ゴーダイ | 2010/08/05 11:37 PM |
ゴーダイさん、こんばんは。コメントありがとうございます。
救う方は、救った後、とりあえずいろんな人が力を合わせて混乱から立ち直っていく…という流れで、救った本人(あるいは本人たち)は“レジェンド”となればよいわけですが、征服は難しいと思うんですよ。
征服するってことは、その後の支配も当然ながら担うわけで、この複雑化した世界を支配…というか、とりあえず運営していかなければならないわけですから、すごく割が合わない振る舞いに見えてしまうんですよね。
よほど実現したい理想社会(その本人にとっての理想です。独裁支配にしろ「こうしたい!」という強いビジョン)が心になければやらないでしょう。
この「ソルト」で、黒幕(リーヴ・シュレイバー)の思いが全く見えないのがすごく違和感があったんですよ。「えっ、そこんとこ何にも描かないの??…あ〜、そうか〜これってアンジーのアクションを見せるためだけの映画だったのね…」と、気持ちのスイッチが“アクション・ドラマ”から、単なる“アクションもの”に切り替わったのでした。
ゴーダイさんがおっしゃるところの「世界」は、いわゆる「(セカイ系の)セカイ」とは別ものですよね?確かに、辻褄も合わせつつ面白く描くには今の世の中、複雑になりすぎていると思います。
あるいは村上春樹の「かえるくん、東京を救う」の方がリアルに感じられるほど…。
| Yukiko T. | 2010/08/06 10:52 PM |
レスありがとうございます!
はじめに長文すいません。
>ゴーダイさんがおっしゃるところの「世界」は、いわゆる「(セカイ系の)セカイ」とは別ものですよね?
100%「はい違います」とは言えないのが歯がゆいです(笑)
・・・というのは、私は少なからず観客に感情移入をさせる必要があるエンターテイメントにおいて「リアルな世界(客観的でいわゆる“社会科学的な意味”での世界です)」を描くのは本質的に不可能だと思っているからです。
それは登場人物を中心に物語を描かなければ、ドラマとして見ていて面白くないから(=感情移入しづらいから)であり、世界全体を見渡すような大きい視点には、神様の話でない限りそこに「パーソナリティ」はあり得ません。
※SFが難しいという人もここが理由になっていると思います。科学的なものの見方は殺伐としていて無機的すぎるのだと思います。
そして、一人の人間が人生の中で見たり感じたりできる「世界」と言うのは実際には「世界のごく一部」なわけですよね。
ですから登場人物が世界を救ってしまうような話は、個人と世界の間にある「社会(企業、政府、国家)」をすっとばしてしまう傾向があります。
これを極めてリアルに描くならば、『課長島耕作』のように、課長から徐々に出世していって、部長、専務、社長になり、次に国会議員に出馬し、何回か落選を経験した後にやっと当選して、その後自分の所属する党の中で幹事長などの重要なポストになんとか昇りつめ、とうとう自分の党が政権をとって総理大臣に選出され・・・と、とんでもなく長い時間を要してしまい、とても二時間の映画ではおさまらないと思います。
私は、主人公やヒロインの自己中心的な感情や振る舞いが、世界に影響を与える、その度合いが“嘘くさいほど大きい”のが「セカイ系の物語」だと解釈していて、世界をヒーローが救う話は、多かれ少なかれ全てこの「セカイ系的性質」をもっているのではないか?とも考えています。
問題はその「度合い」で、それがいくらなんでもひどすぎると、「映画のリアル」も破綻してしまいセカイ系の中のセカイ系的作品になってしまうのかな?と感じています。
それと仰る通り国家的なイデオロギーは冷戦以降消滅したかどうかはともかく、確実に“変容”はしましたよね。
正義の味方はいつの世もかっこよく普遍的な存在かもしれませんが、黒幕の行動原理だけは現代の社会情勢をふまえなければ、時代遅れで古臭い話になってしまうのかもしれませんね・・・
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ゴーダイ | 2010/08/07 12:20 AM |
ゴーダイさん、こんばんは。
力のこもったレスを、こちらこそありがとうございました。
>その度合いが“嘘くさいほど大きい”のが「セカイ系の物語」
問題は「度合い」ですね。
これは感じ方にも個人差がありますから、やはり線引きは難しいところでしょう…。
スパイもの、というカテゴリーはリアルに描こうとすると割と泥臭い感じになると思うんですよね。
近々「フェアウェル さらば哀しみのスパイ」という作品を観にいく予定なのですが、こちらは実話ベースなので恐らく自分の中で良い比較になるのではないかと思っています。
その他で言えば「アメリカを売った男」という作品(2007年ビリー・レイ監督)なんかも、リアルとエンターテイメントのバランスが上手くとれていたスパイ映画だと思います。これも実話ベースですが…。
事実は小説より奇なり、という言葉もありますが、それが実話に基づいた話だと知らなければ「そんな都合の良い(不自然な辻褄あわせをしたような)話があるわけない…」と感じる物語は結構あります。
ちょっと話がそれてきましたが、ゴーダイさんの文章を読むと、普段何となくひっかかって考え続けている事柄について、思考の補助線的なヒントをもらえるので、感謝しています。
話がそれたついでに…
結局ストーリーがリアルかどうかよりも、そこで動いている人間がリアルに描けているかどうかが一番大事だと思うんですよね。
例えば「インセプション」みたいな荒唐無稽な映画が、これだけ心に響くのは登場人物のリアルさが一因だと。
コブの心にある“罪悪感”や、それを克服しようとする過程を描いているストーリーが、あの作品の見どころだったと感じています。
この「ソルト」について言えば、リーヴ・シュレイバーだけじゃなくアンジェリーナ・ジョリー演じるソルトの人間性もあまりきちんと描かれていなかったので“アクションしか見どころがない”と感じたわけです。
| Yukiko T. | 2010/08/08 9:49 PM |
なるほど。
『ソルト』は作品の性質上、少年漫画の様に「キャラ立ち」していなければいけない映画だったのに、キャラに感情移入があまりできなかったから・・・ということでしょうか。
>結局ストーリーがリアルかどうかよりも、そこで動いている人間がリアルに描けているかどうかが一番大事だと思うんですよね。
これは私もよく思いました。
ただこの定義に当てはまらないのが、世界観をメタ的に楽しむジャンルである「SF」なのでは?と最近思いだしていて、SFで独自の世界観を描きたいなら、キャラの内面性の演出はひかえるべきという意見も『インセプション』にはあるそうです。
つまりあそこまで複雑な世界設定を理解するのに精いっぱいなのに、コブのトラウマまで詰め込まれたら頭が追い付かないよ、という意見ですw。
なんにせよ非現実的なお話作りには少なからず現実の知識が必要ってことですよね!
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ゴーダイ | 2010/08/08 10:35 PM |
ゴーダイさん、こんばんは。コメントありがとうございます。
>コブのトラウマまで詰め込まれたら頭が追い付かないよ、という意見ですw
そうかもしれませんね。
でも時間がたって振り返るほど、コブの贖罪がストーリーの軸だという思いが強まっています。
「インセプション」は神の領域ですから…。
前後しますが、
>SFで独自の世界観を描きたいなら、キャラの内面性の演出はひかえるべき
こういうテクニカルなSFの面白さは、私は理解できないかも…。「物語」ではなくて「仮説」みたいな感じがします。
>なんにせよ非現実的なお話作りには少なからず現実の知識が必要ってことですよね!
全面的に同意!実体験じゃないにしても(身体がいくつあっても足りないし)実際のことに基づいた学びは尊いです。
| Yukiko T. | 2010/08/08 11:05 PM |
レスありがとうございます。
>こういうテクニカルなSFの面白さは、私は理解できないかも…。「物語」ではなくて「仮説」みたいな感じがします。
そうなんですよ。オタク評論家「岡田斗司夫氏」が言及されていますが、本来SFって現実の科学技術の仮説だったと思うんですよ!
だから現在SFってうけないのかな?っとSFがけっこう好きな私は思っています。
高度すぎてブラックボックス化している科学が当たり前になっている時代ですからね。
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ゴーダイ | 2010/08/08 11:40 PM |
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( → 公式サイト
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